三つの詩

Ishihara Yoshiro

詩が

詩がおれを書きすてる日が
かならずある
おぼえておけ
いちじくがいちじくの枝にみのり
おれがただ
おれにみのりつぐ日のことだ
その日のために なお
おれへかさねる何があるか
着物のような
木の葉のようなー
詩が おれを
容赦なくやぶり去る日のために
だからいいというのだ
砲座にとどまっても
だからこういうのだ
殺到する荒野が
おれへ行きづまる日のために
だから いま
どのような備えもしてはならぬ
どのような日の
備えもしてはならぬと

 

馬と暴動

われらのうちを
二頭の馬がはしるとき
二頭の間隙を
一頭の馬がはしる
われらが暴動におもむくとき
われらは その
一頭の馬とともにはしる
われらと暴動におもむくのは
その一頭の馬であって
その両側の
二頭の馬ではない
ゆえにわれらがたちどまるとき 
われらをそとへ
かけぬけるのは
その一頭の馬であって
その両側の
二頭の馬ではない
われらのうちを
二人の盗賊がはしるとき
二人の間隙を
一人の盗賊がはしる
われらのうちを
ふたつの空洞がはしるとき
ふたつの間隙を
さらにひとつの空洞がはしる
われらと暴動におもむくのは
その最後の盗賊と
その最後の空洞である 

 

じゃがいものそうだん

じゃがいもが二ひきで
かたまって
ああでもないこうでも
ないとかんがえたが
けっきょくひとまわり
でこぼこが大きく
なっただけだった